現代スサノウの言霊 

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二十一世紀

 十九世紀の終りに近く科学の目が初めて物質の最小単位である原子の中に向けられた。原子物理学の誕生であった。今世紀に入り原子物理学の進歩は目覚しく〝物〟とは何であるかの研究が進展し、原子核内エネルギーの解放である原子爆弾の日本への投下が行われ第二次世界大戦は終わった。ニュートン物理学から量子物理学へ、原子核内の探究は飛躍的発展を遂げた。二十世紀前半は原子物理学の時代であった。今世紀後半は宇宙物理学の台頭となり、人類の宇宙時代が始まった。生物学の分野にも新しい光が差した。生命の生物学的解明は急速に進みつつある。分子構造の研究は自然の中では存在しない幾多の便利な安価な〝代用品〟の大量生産に成功している。所謂〝ハイテク〟の開発は人間社会の生活を一変させ、今まで歴史的に例を見ない産業革命が日々刻々進展しつつある。
 須佐男命即ちエホバの意図である物質文明創造の進展は右の如くであるが、そのもう一つの意図である大国主命の〝国引き〟の仕事即ち権力による世界統一の業はどうなっているであろうか。西漸のユダヤ民族は夫々ヨーロッパに根を張りその知力と経済力とを以て各民族・各国家の中枢に入り徐々に力をつけ、中世を経て産業革命やヨーロッパの植民地主義に乗っていよいよその影の権力を振い始めた。彼等には国家はない。領土も持たぬ。しかし各民族の中に入って数千年の間彼等はユダヤ人独特の信仰と教育を捨てず団結を失わず、その特性である学知力と経済力を以てその住む所の国家政治に隠然たる影響力を常に保持した。その活動の中心はイタリアよりドイツ・ベルギー・オランダ・フランス等次々に移り、第二次大戦終了前後には英国がその根拠地であった。彼等が活動の基地を置く国は必ず繁栄した。世界の中心があたかもそこにあるかの如き活況を呈するのである。そしてその国の経済は彼等の薬篭中のものとなった。その繁栄した国家・民族の経済力・権力を自由に操ることによって彼等は世界の経済全体の掌握を意図するのである。
 第二次世界大戦を契期としてユダヤは根拠地をアメリカ合衆国に移した。ニューヨークのウォール街を中心とした世界経済の操作は一段と進み、その手足である各種国際企業はますますその実力を膨れ上がらせる。数千年の中華思想を以て任ずる中国も、石油の産出を武器に勢力を張ろうとしたアラブの民族主義も、その他大戦以後続々と独立を果した各民族国家の国粋思想も、次々と彼等の経済的圧力によって懐柔されて行った。彼等はその勢力を駆って〝国引き〟の最後の目標であるロシア・ソビエト連邦に対する包囲網を刻々としめつけていった。資本主義・民主主義・自由主義なる言葉は彼等の思想的武器である。この思想の武器と厖大な経済力を以てする彼等の国引きの事業の完成は目睫の間に迫っている。『そして近年の世界の共産体制の全面的崩壊となったのである。』
 かく葺不合王朝の神足別豊鋤天皇がモーゼに下した命令…第二次文明である物質世界の解明と経済と権力による世界の統一の業は二つながら完成まで今一歩の所に来たのである。